•需要予測とは?

需要予測は、過去のデータに基づいて、将来の販売数や来客数などを予測する分野です。従来は担当者の勘と経験に基づいて行われていましたが、近年ではAIを活用することで、高精度かつ多目的変数にも対応した予測が可能になっています。需要予測AIは、小売業、製造業、物流業、サービス業など、さまざまな業界で活用されています。

なぜ需要予測が必要か?

•在庫最適化

需要予測は、適切な在庫レベルを維持し、在庫不足や過剰在庫を最小限に抑えるために使用されます。在庫不足の場合は売上機会の損失に繋がってしまいますし、逆に過剰在庫の場合は管理コストの増加や消費期限切れなどによる廃棄ロスにつながってしまいます。このような事態を避けるために、過去の売上や天候、トレンドなどあらゆるデータを解析して、将来の適切な在庫量を予測する取り組みが行われています。

•価格最適化

例えばスポーツの試合では、チケットの価格が高すぎてはお客さんが入りませんし、逆に低すぎては売上機会を損失していることになります。そこで、高すぎず低すぎない、ちょうど良いチケット価格を算出することが大切です。この時ベースになるのが、需要予測の考え方になります。

•人員配置最適化

例えばイベントで、お客さんがたくさん来ると予想してスタッフをたくさん配置したが、思ったより来客が少ないと、スタッフの人件費が余分に発生してしまったことになります。このような事態を防ぐために、来客数を適切に予測することが大切になります。

•需要予測を行っている事例

•スーパーマーケット「ライフ」の需要予測
•ライフコーポレーションは、2021年1月にAI需要予測による自動発注システムを全店で導入
•販売実績や気象情報、企画情報などのデータを基に、日々の商品発注数を自動算出
•販売期間が短い牛乳などの日配品についても、発注の自動化を可能に
•コロナ禍における激しい需要供給変動にも対応
•システム導入で、対象商品の発注作業時間の5割超の削減を目指す
•NTTドコモのタクシー会社向け需要予測サービス「AIタクシー」
•AIを活用したドコモのリアルタイム移動需要予測技術で未来のタクシー乗車需要を予測するタクシー事業者向けサービス
•現在から30分後までの未来のタクシー乗車需要の予測データをもとに、需要の多さや乗車数を色の濃淡や数値を用いて車載用タブレットなどの地図上に表示
•タクシーの乗車需要が高い場所を地図上に表示することで、ドライバーが効率よくタクシーの乗車率を上げることが可能
•新人ドライバーでも、経験の有無や土地勘に関わらず、ベテランドライバー並みの成果が出せるように
•スシローの需要予測システム
•AIシステムを導入する前は、本社の営業企画担当者が過去の実績を用いてメニューに応じて需要を予測し、それを各個店に割り当て
•しかし需要は、販促キャンペーンの内容や天候、周辺地域の催事など多様な要因が絡む上に、それぞれの要因がどれだけ影響するかも店舗の特性によって異なるため、予測は困難
•そこでアクセンチュアと連携し、需要予測システムを開発
•Jリーグ横浜F・マリノスの需要予測とダイナミックプライシング
•2018年7月28日のホームゲームから、需要予測システムを活用したダイナミックプライシングを導入開始
•チケットの需要は、チーム順位や天候、季節やなどさまざまな要因によって変動
•観客数およびチケット収入は従来型の販売手法と比べて7~8%増加